長年勤めた会社を退職した。退職した理由はまだ書かないが、退職して変わったことがある。自分に厳しくなろうと努力することにした。まだ弱いのだけどね。
会社を辞めて自由になった=無収入の無職
希望退職の募集があった。これで3回目の募集だ。どうしようかと迷っていたら、目の前の先輩が退職するための書類にサインをして、部長に笑いながら提出した。そして、スキップで人事部に書類を持っていく。確認のメールが来たらしい。
会社も呑気なもんだ。辞めると言っている社員に2回も確認の連絡をする。そして、受理されると退職日が決まった。
「おい、飲みに行こうか」と言われた。その時は蔓延防止条例により飲食はできないはずだった。ところが、「必ず、やっている店があるはずだ」という。そして、新橋の駅の周りを歩くとすぐに見つけた。
「酒もタバコもOKです」という。しかも、飲み放題でコース料理がついて5000円税込だという。
冷静に考えて先輩は、60歳まであと少しだった。「ちょっと早く辞めるだけだ」と笑いながら言って、何をするのかと聞いたら「風の吹く方向に旅するのだ」と言っていた。
そして、真剣に辞めた後どうするかを話し始めた。
「会社を辞めて何をするのか?よく聞かれるけど実は何も計画がないんだよ。会社を止めるということは、無職になって無収入になることだ。ただ、それだけだ」と平気で笑いながら話すのである。
相当金を溜め込んだのかな?
「実は、貯金はほぼないんだよね。年金が降りるまであと5年でしょ。それまで、なんとか食えるだろ」と楽天的である。
退職願を出した瞬間の爽快感がたまらない
退職したら何ができるだろうか?
食っていけるだろうか?家族は?学費は払えるか?
漠然と計算を始めた。
だけど、計算を始める自分が嫌になった。
ある時、アホが仕事でヘマをした。
サーバーのデータが正確に処理されているかを確認する。
オールエラ〜のレッドシグナルが点灯する。退職予定の先輩は天才数学者だった。「あの、サーバーがオールエラ〜です」と言ったら、ぶっ飛んで自席に帰ってきた。
「どーれ、どーれ。全部エラーじゃん」
と言ってキーボードを打つてが見えないぐらいのスピードで打ち込みが始まった。そして、解析を開始すると98万件のデータが破壊されていた。
「おい、誰が破壊コードを入れた」
「破壊コードですか?」
「これって、ミスではないぞ。破壊工作だ」
それから、4時間の間先輩は動きもせずに、ひたすら復旧のためのプログラムを打ち込みテストを繰り返していた。
その間に犯人探しを始めた。
実行犯が見つかった。
「アルバイトのお姉さんじゃん」
「間違えて打ちましたかね?」
「間違っていた?あ、これを開けてはいけないのだよ。通常のデータ処理をすればいいのに、なんでこうなったんだろう?」
アルバイトのお姉さんは、単純作業を受け持ついわゆる有期雇用の人です。上長が確認します。すると「なぜやったのかわかりません」と返事が来た。
やっちまったもんはしょうがない。
復旧作業を開始することにした。
残りは980件のデータが手作業で修正が必要だった。アルバイトを管理する上長2名が朝まで手作業をしていた。
そして、翌日にはエラーコードは無くなった。
その時、上長が何を言ったか?
「治ったからいいよね」
「よくねーだろ」
と先輩と一緒に噛み付いていた。
そして、ムカついた私は、ボケ社員と仕事をしたくなくて希望退職に応募した。
出した時のことは忘れもしない。
気分爽快に笑いながら部長に出した。
「ほんとにもらってもいいのか?」
「いいです」
その瞬間、部長は人事に私の辞表を持っていくのだ。
10分後の確認メールが面白かった?
「ほんとに退職しますか?考えるなら今です」
誰が送ってきたと思う?人事だよ。
人事は受理するだけでいいのだよ。
そう思って、受理させた。
それからが面白い。
人事部の友人から「ほんとに辞めるのか?」とメールが来始めるのだ。
辞めると言ったら辞める。
そう思って、声からのことを考えた。
退職金でしばらくは生きていける。
しかし、そう言っても次にやることを開始しないといけない。
でも、何をやる?
次にやることはなんだろう?もう会社に勤めるのは嫌だ
会社を退職することにしたら、社内ではいろんなデマが飛び交うのだ。
「実家に金があるからだろ」
「何かやることが決まっているんだろ」
色々な人から「次は何をやるの?」と聞かれた。
能力もないのにあるように見せかけて、再就職先を見つける輩もいた。
ほんとに大丈だろうか?
こいつの経歴は全て嘘だぞ。と心の中で叫びながら思った。
ともすると、司法修習生になるから辞めるという強者までいた。
そんな時、別の会社だが早期に会社を辞めて自分一人で仕事をしている友から連絡がきた。
「しばらく、何もせずに都内でも歩けば。ひたすら、朝からずっと歩くんだよ。するとな、
面白いくらいに色んなことを見つけるのだよ」
都内をひたすら歩いてみると、風景が変わっていた。
というか、風景が変わって見えてきた。